駒箱造り 名匠 奥山正直師

駒箱造りの名匠・奥山正直師の工房を訪ねました

奥山師といえば、島桑
桑はその木目の美しさから指物などに重用される素材の一つですが
特に伊豆・御蔵島産のものは「島桑」とよばれ、
木地の光沢の輝きが素晴らしく、江戸指物で使われる材の中でも最上級とされています

 


私もはじめのうちはPCで見ていて、ちょっと黄色っぽい材なだけで
なんでこれが最高級なんだ?欅の方がいいんじゃないの?と思っていました(すいません)
しかし実見してみるとその美しさは歴然。PCの画面では伝わらない美しさだと思います

奥山師のもう一つの特徴は、傭核留(やといざねどめ)でしょう
傭核留は江戸指物で使われる継ぎ方の一つで、契り留のように外からは見えません
島桑のような美しい材にはぴったりの継ぎ方だと思います
この留め方で駒箱を作られているのは現在は奥山師のみ
奥山師は15年ほど前からこの留め方を採用されているそうです

今回の訪問の一番の目的は師の印籠型駒箱を拝見すること
素材はもちろん御蔵島産桑の根杢
柾目取りですが横に縮み杢が入っています
奥山師の長年の経験でもこのような材は初めてとのことでした
そのような材が、30回もの拭き漆によって塗面が鏡面と化しており
見る角度によって杢目がキラキラと輝いています
決して派手な作品ではないですが
造り手の精魂が込められた、後世に残る作品だと思います

この作品の制作過程は奥山師ご自身のブログで参照できます
作品の制作過程を知る機会は非常に貴重なので
このように造り手の想いを共有していただけると、作品に対する愛着も一層深くなりますね
直通信583  直通信592  直通信602  直通信608

ただ、今回訪問して一つ残念だったことは
奥山師が健康上の理由で、すでに駒箱造りを辞められていることでした(注:駒木地などの制作は続けられるそうです)
これまで35年以上に渡り千個以上の作品を世に送り出してきた奥山師ですが
今回の作品が奥山師にとって最期の作品となります

師は穏やかな話好きな方で、私のような素人にも制作上の話など丁寧に説明してくださいました
ただ、その中で「物造りが物を造れないのは辛いことだ」と
少し悲しげに仰っていたのがとても印象的でした

名匠 奥山正直師が、最期の作品として精魂を込めて作られたであろうこの駒箱
末永く大切に使い、後世に伝えていきたいと思いました

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かつどん
製薬企業で働くアラフォーサラリーマン。東京在住 大阪出身。 息子の将棋成長記録や棋具の話を中心に更新しています。 モットー:明日できることは明日やる
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2 件のコメント

  • 『親父の経験則では、依頼者の意図・価値観を作者と共有しやすくするには
    同年代が良いというのがあります』とのことでしたので、
    びりたんは住谷考蔵様あたりにご注文されるのかなーなんて妄想しておりましたが
    http://www.takumijuku.org/index.php?id=43
    https://ja-jp.facebook.com/wazappon/posts/1439220759456304
    http://sumi-76fu.com/blog/%e9%a7%92%e7%ae%b1%e3%82%92%e3%82%a2%e3%83%83%e3%83%97%e3%81%97%e3%81%be%e3%81%97%e3%81%9f
    http://sumi-76fu.com/blog/%e3%81%86%e3%82%8c%e3%81%97%e3%81%84%e3%81%94%e5%a0%b1%e5%91%8a
    ひとつ目(?)の駒箱は普通に奥山様でしたか。
    ところで、この奥山様の駒箱は高さが95cmないですか?
    熊澤先生が高さが90cm以下の駒箱でないと
    タイトル戦とかのように盤の下に納めるという使い方は出来ませんよ、と
    おっしゃっていたのでその点だけが少し気になりました。
    「伝統工芸品としての盤の脚の高さは、
    将棋盤三寸の寸法が約束事になっております。
    盤の厚さによって脚の高さが変ることはありません」
    とのことですがかつどん様の現在の盤は何センチでしょうか?
    大振りの駒と背が低いタイプの駒袋と固い着物生地の駒袋の組み合わせだと
    駒袋の中の駒の整地を工夫しないと駒箱の蓋が駒袋の頭がつかえて閉まらない
    ものもあるので、背の高い駒箱はその点は良いとは思うのですけど。
    びりたんが持っている箱根寄木細工の駒箱も
    側面にチギリが見えたら、それがアクセントにはなりにくいからでしょう。
    「雇い核大留接ぎ」で作ってありました。
    かつどん様のおかげで勉強になりました。
    ありがとうございました。
    思眞さんに駒注文

    奥山さんの駒箱ゲット←NEW!!今ココ

    新たな盤←次ココ?わくわく&どきどき♪

  • びりたんさん
    いつもコメントありがとうございます。
    住谷氏の駒箱も素晴らしいですね。
    今回は島桑の拭き漆までは決めていたので、奥山師に依頼することは結構すんなり決まりました
    印籠型なので盤下には収まりません。
    盤下に収まるサイズにするか、印籠を諦めるかの二択でしたが、
    タイトル戦に使うわけではないので盤側に置けばいいやっと思って印籠型にしました
    印籠型の駒箱もいいですよ!是非おひとつどうぞ。

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